近畿地方の山々に、山椒の花が芽吹きます。
花山椒、その小さく淡い黄色は、春が最も輝く頃合いを告げる合図です。
この度、下鴨茶寮ではその一瞬の贅沢を閉じ込めた「黒毛和牛と花山椒鍋」をお届けいたします。料理監修を手がけた本山直隆(もとやま・なおたか)総料理長に話を訊きました。
花山椒の一瞬の旬を

京料理に欠かせない存在の「山椒」。その葉は「木の芽」として香りつけに、「実山椒」は、挽いて粉山椒にしたり、煮つけにしたりと、様々な料理に使われます。
そして、山椒の花である「花山椒」。実山椒のような鋭い痺れはなく、華やかな香りの旬の食材として愉しむことができます。
ただし、花山椒の収穫時期はわずか一、二週間。その希少さと、京都の料亭でも限られた時期にしか出合えないことから、多くの美食家を虜にしてやみません。
季節を映す花山椒の鍋
その花山椒の魅力を黒毛和牛とともに味わっていただく鍋に仕立てました。
花山椒は、熱いお出汁にくぐらせた瞬間に、目も覚めるような清々しい香りを放ちます。今回の主役は、この香りそのものです。
仕込みの段階で完成させてしまうのではなく、お客様がお鍋を囲み、花山椒をくぐらせたその瞬間が一番美味しくなることを思い描いて整えております。
「であいもん」といわれ、非常に相性がよい山椒と牛、そして春の象徴である「筍(たけのこ)」とともに、季節の移ろいを感じていただけたらと思います。
はちみつを隠し味に、まろやかな出汁
お出汁は、濃厚な牛が引き立つようあっさりと仕上げ、後から旨みを深める切り昆布を添えました。ほんの少し甘みを感じさせているのは「はちみつ」です。砂糖の直接的な甘さではなく、はちみつ特有のまろやかさが、黒毛和牛の旨みと花山椒の香りによく合います。
お出汁に丸みが生まれることで、山椒の心地よい刺激がより穏やかに感じられ、余韻をお愉しみいただけると思います。
黒毛和牛の旨み、春山の彩りとともに
お出汁に余韻をうつす実山椒をお添えしております。春野菜とともにお入れください。
春の息吹を感じさせる筍の歯ごたえや、筍と相性のよいわかめ、京都らしい水菜、名脇役のようにそっと甘みを添える玉ねぎなどを厳選いたしました。
最後に、花山椒と黒毛和牛をひとくぐらせ。黒毛和牛の脂が、花山椒の香りを追いかけるように包み込み、口どけとともにゆっくりと解き放ちます。
山椒の爽やかな香りと野菜の甘み、黒毛和牛の深い旨み、ひと口ごとに春の景色が深まっていくような味わいを目指しました。
花山椒はひとくぐらせで
このお鍋が最も美味しい「食べごろ」は、ほんの一瞬です。筍は、芯まで温まり、歯を入れた瞬間にほどける頃合いが最良の状態。
花山椒の香りは儚く、すぐに空中に消えてしまいます。お出汁からやわらかな湯気が立ち上るその時に、さっとくぐらせる。煮込みすぎず、爽やかな香りをお愉しみください。
牛肉もまた、お出汁の中で色が淡く変わった瞬間に引き上げてお召し上がりください。
お肉の脂が一番潤っている状態で頬張ることで、花山椒の香りを最も贅沢に味わうことができます。
日常に特別な時間を
京都で愛されている花山椒の香り、筍の淡い旨み、黒毛和牛の深い旨み。この季節ならではの料亭の味わいを、ぜひご家庭でもお愉しみいただきたきたく、春を惜しむひと鍋としてお仕立ていたしました。
日常のなかに、ほんの少し特別な時間が流れることを願っております。
〈下鴨茶寮 総料理長 本山直隆〉
【数量限定】黒毛和牛と花山椒鍋
プロフィール
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本山 直隆下鴨茶寮 総料理長 1981年佐賀県生まれ。料理人である父の背中を見て育ち、自身も料理の道へ。東京で日本料理の修業を重ね、2016年3月、「銀座 下鴨茶寮 東のはなれ」料理長、2017年6月「下鴨茶寮」総料理長に就任。 |








