花曇りのころの京都、下鴨神社の楼門の前には山桜。
鴨川のほとりでは、敷物を広げてお弁当を愉しむ人の姿も見られます。
京都では昔から、お弁当をひらき季節を愉しむという習慣が、人々の暮らしのなかにありました。
今回は、桜の季節に新発売となりました下鴨茶寮の弁当「福福のごちそう膳 二段」をご紹介するとともに、京都の仕出し弁当の歴史を紐解きます。
おもてなしの心から生まれた京都の「仕出し文化」
京都の弁当の歴史を語るうえで欠かせないのが、日々の暮らしに息づく「仕出し」文化です。京都では、客を自宅でもてなす際に「家庭料理は出さない」という暗黙の了解があります。素人の味ではなく、プロの料理を出すのが礼儀とされていたのです。
町衆の台所として発展した仕出し屋の料理は、晴れの日の行事や、呉服屋などの大店で客をもてなす際にも、また花見や観劇の幕間などの行楽にも重宝されました。
料理を重箱に詰めてお弁当の形態にしたことから、京都ならではの「仕出し弁当」が広く根付いていきました。
そして、ふたを開けた時の期待感や感動を演出するのも、仕出し弁当の大切な役目となったのです。
茶懐石の美意識と箱を重ねて
日本の弁当には、料理を箱に詰めるという独特の美意識が宿っています。茶懐石では、一口ずつの料理を大切に味わう「少量多品」が基本。いくつもの彩りを少しずつ取り合わせる考え方は、そのまま松花堂弁当に引き継がれています。
まるで茶室のように、限られた箱の中に季節を感じ、五感を目覚めさせる食材を詰める弁当。そこには、「日本の食文化」そのものが宿っているのではないでしょうか。
また、重箱のように料理を「重ねる」器には、福や喜びが幾重にも重なるようにという願いも込められてきました。
祝いを重ねる京都弁当「福福のごちそう膳 二段」
下鴨茶寮の「福福のごちそう膳 二段」は、晴れの席やお祝いのひとときを思い描いて仕立てた京料理のお弁当です。
手に取りやすい細長の、木目風が美しい二段。
箱のふたをひらくと、小袖寿司やちらし寿司の彩りが広がります。
サーモンと鯛の小袖寿司、三つ葉の帯を結んだ棒稲荷、ちらし寿司には玉子焼きや貝柱、いくらをあしらい、柚子皮を散らしました。
二段目には、下鴨茶寮本店と同じ仕込みの味噌床で漬けた銀だらの西京焼き。ひろうすや生ゆば、茄子など京都らしい味わいが並びます。
松笠に飾り切りしたいかや金粉をまとった黒豆、花麩。祝いの席にふさわしい料理を、箱に収めました。
下鴨茶寮本店は、熱い料理は熱いうちにお召し上がりいただく料亭でございますが、特別なお客さまのご要望にお応えし、お弁当をお仕立てすることがありました。そうしたご要望が高いため、皆さまにお愉しみいただけるようお弁当をおつくりするようになりました。
「冷めても美味しく」。京都仕出し弁当の基本に従い、出汁の味つけをしっかりと、ふやけてしまう揚げ物は避けて炊きものを中心に、また、他の料理の味を損ねないよう汁気の多いものは仕切りを使っておりますが、仕切りが目立たないよう盛り込みで目に華やかに。
弁当は盛り込みで表情が変わります。晴れの日にふさわしい、料亭らしい華やかな盛り込みの技は、下鴨茶寮の料理人たちがささやかに受け継いできました。
福福のごちそう膳 二段
冷凍・1人前 5,400円(税込)
鴨川の春、桜の下で
花曇りの空の下で、鴨川の流れを眺めるように。
このお弁当が、京都のおもてなしの心とともに、皆さまの晴れの日にそっと寄り添えましたら嬉しく思います。
参考
「京の暮らしに息づくおもてなしの心「仕出し」」京都観光オフィシャルサイト_京都観光Naviぷらす(公益社団法人 京都市観光協会)https://plus.kyoto.travel/entry/food-culture-shidashi/






